北欧神話ーファフニール3 ファフニールの最期

ファフニール(ファヴニール、ファーヴニル)はグニタの原(グニタヘイズ)に洞窟を作って黄金を隠していた。
その財宝にまつわる伝説では、名声と富を求めて多くの野望に燃える英雄たちが、そのねぐらを訪れる場面が描かれる。
その者たちのほとんどが、ねぐらの外の枯れはてたヒースの荒れ野で死を迎える。
シグルスもその噂を耳にしていたが、ウォルスング(オーディンの直系)の血が恐怖心を消し去っていた。
 
グニタの原に向かうと、竜の這っていく跡を見つける。
この竜はパペガでのファフニールというよりサラマンダーの巨大な姿を想像したほうがいい。
蛇のような体で鱗があり、しかし翼はない竜だ。
ファフニールはいつも同じ断崖の上から水を飲むのだという。
レギンがいう、
「お前はこの通る道に溝を掘って隠れて、ヤツがお前の上をはいずって行く時に、その心臓に突き刺せばいいのだ。それでお前は不滅の名声をうるのだ」
 
レギンの作戦

 
何度も現れてはいつの間にか消える片眼の老人=オーディン。
神様というのは、もっと大きな目で人間達を見守っているものだとケバダチは思っていたのだけれど、北欧神話の神は、とにかくちょっかいを出すw
いや、自分の血筋だからなのかもしれないが、神のシナリオ通りに命が左右されるようで、
ちょっとむかつく。
 
しかし、オーディンの助言で、シグルスは見事竜の心臓をグラムで貫くことができた。
シグルスはすぐに剣を引き抜き溝から飛び出たけれど、肩から腕まで返り血で染まったという。
ファフニールは苦しみに身をくねらせる。
頭と尾で石や茂みをはねとばす。
やがて、流血で力の弱まりを自覚すると、彼はおとなしくなり話しかけた。
 
竜退治アランリー
(アラン・リー 1984年)
 
ファフニールが単なる竜ではなく、元は人間であり、賢人とも言われるエピソードが次にある。
息を引き取る間際、シグルスと対話していく。
エッダには『ファーヴニルのことば』があり、2人の問答がまとめられている。
ノルンのことやラグナロクのことなど、シグルスの質問に答えるファフニールの賢人さが伺える。
ここでは竜退治の話のみ書く。
 
「俺にあえて武器を用いるとは、お前はいったい誰で、どこの家の者だ?」
ファフニールの問いにシグルスは白を切ろうとする。
これは、
『死に定められた者のことばは、彼が自分の敵をその名をあげて呪えばはなはだしい力をもったと、昔の人々によって信じられていた』と「ファーヴニルのことば」の冒頭に続く散文にある。
要するに、名乗ればそのまま強い呪いをかけられるとシグルスはけん制したんだ。
だが、ファフニールに嘘つき呼ばわりされ、名乗ることにする。
「言ってもお前は知らんだろうが。俺はシグルスといい、ウォルスング家のシグムンドの子だ。そしてお前の心臓をつらぬいたのはシグルドの剣だ」
「お前をけしかけたのは誰だ? お前が果敢な父親をもっていることは、そのきびしい眼を見ればわかる。しかし、熊はまっすぐにうちかかることは教えんもんだからな」
(熊ってずいぶんな例えだよね。勇敢でもオバカに見えたのかな?)
「俺をけしかけたのは、おれ自身の勇気だ。俺の手が打ち下ろし、俺の剣が俺を助けたのだ。子どもの時にめそめそしている奴は、決して大胆不敵に育つことはないよ」
するとファフニールはあざける。
「お前が一族の中で育ったのなら、戦士になったことも信じるよ。しかし、戦で捕虜になってるではないか。そして奴隷という奴は、いつもふるえる心臓をもっているものさ」
(ファフニールはシグルスの服装や家の名前等から他国の王家であり、負け戦でこのデンマークにいることを理解したようだ。それは奴隷と同じことを意味するようだ)
 
ファフニール最期
 
最後にそう叫んで、ファフニールは死んだ。
 
シグルスがそこに座り、草の葉で剣を拭っていると、レギンが森から出て来た。
「戦いに勝っておめでとう! お前がファフニールを倒したのは大した手柄だ。このことは決して、人の記憶から消し去られぬだろうよ」
それからレギンはじっと長く土の上を見つめてから言った。
「お前はお前の仕事を誇りに思っているだろうが、お前が殺したのは、わしの兄弟だからな。このことの責任もないわけじゃない」
シグルスが答える。
「あなたの分け前は、大きくはありませんよ。僕が剣を竜の血で染めている間、あんたは頭をヒースの中に埋めて、天に起こったことも地に起こったことも、何も知らなかったのですからね」
「もし剣が役に立たなんだら、竜の奴はまだ永く荒野を這い回っていたろうよ。その剣はわしがこの手で鍛えたんだからな」
「鋭い剣よりも、勇気の方が必要なんだ。勇士がなまくらで闘って勝利を占めたことは聞くが、臆病者が鋭い武器で買ったためしは、一度もないからな」
レギンは凝然と立って、暗い目つきで地の上を見つめていた。
 
勝利の剣を鍛えた役割としての分け前。
兄弟を殺されたことに関しての賠償金。
レギンは両面からたっぷりと分け前をもらうのが当然と話してたんだね。
だが、シグルスにそれは通じないようだ。
もう既に、宝の呪いがシグルスにかかってきていたのかもしれない。
 
レギンはもう一度、自分が鍛えた剣であることと、兄弟殺しだということを言って話題をかえた。
「ところで、ちょっとしたことをしてくれんか。竜の心臓を切り取って、火で焼くんだ。その間にわしは一眠りするから」
 
うらぎり

 
賢人ともいわれたファフニールの心臓には特別な力があった。
レギンはその心臓を食し、魔力を得、シグルスを亡き者にしようと考えていた。
ところが、焼けたかどうか確かめるのに触れると、肉汁が飛び散り、その熱さに指を口にいれたシグルス。
その肉汁を口にしたことで、突然、鳥達の声が理解できるようになった。
そして、レギンの裏切りを知るのだ。
「地獄へ兄の後を追わせてやる」
育ての親とはいえ、以前から不信感をもっていたシグルスは、寝ているレギンの首をはねた。
『やられる前にやる』という世界だったのかどうかケバダチは理解不足なんだけれど、そういう下地の世界だったのかもしれないし、アンドヴァリの呪いの作用だったのかもしれない。シグルスは何のためらいもなく刃を振り下ろしたんだ。
 
シグルスは焼いた心臓を自ら食べ、竜の洞窟へ行く。
そこには2頭の馬でも背負いきれないほどの宝があった。
それをグラニに乗せて引っ張っていこうと思ったが動かない。
重すぎたのだ。
ところがシグルスが馬の背に乗ると、宝の荷重などまったく感じないように、グラニは走り出した。
グラニにとってシグルスは特別な存在のようだ。
 
これでファフニールの話はおしまい。
 
その後、シグルスがどうなったかというと、まっすぐ帰宅したわけじゃない。
実はこのまま山へ登り、火の壁に覆われた城をみつける。
火をも恐れないグラニなので、そのまま城の中へ入っていく。
と、鎧を着込んだ人が寝ていた。
兜をとると女だ。しかし胸甲は体から生えてるかのようにびくともしない。
だが、グラムで切り込みを入れると、割れ落ち、胸甲が落ちると共に女が目覚めた。
彼女はシグドリファという名で、ヴァルハラでヴァルキャラ(ヴァルキュリー、ワルキューレ)としてオーディンにつかえていた。
人間界では王女でブリュンヒルドという。
つまり、シグルド(ジークフリート)とブリュンヒルドの出会いだ。
そして、そのまま2人は夫婦の誓いをたてるんだが、シグルスは自分の腕から腕輪を外してブリュンヒルドに誓いの品としてプレゼントする。
それが、なんと、あの、アンドヴァリの腕輪!(おい!もうつけてたのかよ!)
たっぷりの宝の山の中でもそれが眼につくほど、魅力的な腕輪みたいだね。
だが、呪いの腕輪だから・・・悲しい結末が待っている。
 
前にも書いたけど、「リング」とあるので、腕輪とも指輪ともどちらともとれる。
有名な「ニーベルングの指環」では指輪だ。
このオペラは二次創作だから北欧神話のとおりとはとても言えないんだけど、話をドラマチックにちりばめてていいと思う。
ワーグナーだから壮大な音楽で盛り上げてくれるしね。
4日間におよぶ大作オペラだから、わたくしケバダチも通しは経験ないんだけど、
ダイジェストぐらいは観賞しても悪くないと思う。
なので、ブリュンヒルドとジークフリートの話は割愛。書く予定はない。
気になる人は、事前勉強してから芸術鑑賞するといいと思う。
多少の知識がないと、きついオペラだから。
 
話をファフニールに戻す。
 
竜退治岩画
(「シグルズの竜退治」 11世紀、ラムスンド、スウェーデン)
 
 
竜退治は扉絵などあちこちに描かれているが、この岩壁画が最も古くても美しく残っているものだろう。
もっときれいな写真はないか探したけれど、持ってる絵本からスキャンしたのが一番雰囲気があると思ったので、そのまま。
デザインはこう。
 
竜退治岩絵解説
 
ファフニールを大蛇にして、その中に物語が描かれている。
中央にグラニがいるのがわかるかな。
グラニが繋がれてる木には鳥がいて、シグルスが鳥の言葉を理解できるようになることも描かれている。
左の方には首が離れてる人物も。
レギンのことだね。
 
なぜファフニールが竜になってしまったか、にはこんな説もある。
ファフニールが元々もっていた宝に「エギルの兜」があったと最初にも書いた。
これは人々に恐怖を与える力があるため「恐怖の兜」という別名もある。
これもシグルスは戦利品として持ち帰る、というところまでは記載があるけれど、その後はどうなったかわからない。
この兜をかぶっていたため、アンドヴァリの呪いと相まって、竜に変身してしまったのではないか、とも考えられている。
宝を持つのも、善し悪しだねぇ。。。
 
  
ファフニールは欲にくらんで親殺しをして竜になった。
簡単にいえばそうなんだけど、その言葉でおわりにしちゃうと、
一方的に悪者のレッテルを貼るのと同じに感じちゃう。
ちょっと欲張りなだけであって、そこに「呪い」がプラスされたことを忘れちゃファフニールが可哀想だなぁとケバダチは思う。
大体、父親殺しをそそのかしたのはレギンのようだしね。
死に際し、シグルスが構えたように、呪いをかけようなんて思っていない。
賢人らしく、知ってることをシグルスに伝えたんだ。
死ぬ間際、呪いがシグルスに移ったということなのかもしれないが、本来の賢さを取り戻してたんだと思う。
もちろん、命を奪うシグルスが裏切られることは「ざま〜みろ」と思ったみたいだけどね。
 
それにケバダチは、オーディンの女性観も怒ってるけどw 人間にちょっかい出し過ぎも怒ってるw
そのちょっかいも、アンドヴァリの宝を一方的に奪ったことで呪いがかかったから、そのお詫びのつもりらしいんだけど。
ちょくちょく出過ぎで(そんなに登場したいのかいw)それによって人間の運命が変わっていくのが、いや、それが神だからこそできることなんだろうけど、どうも「余計なお世話」といいたくなる。
オーディン、あんたが来なければ平和だったんじゃないの? と思っちゃう。
まぁ、理解するには、まだ資料も少ないし、読みも浅いんだと思う。
 
長くなったけど、最後まで読んだ方、お疲れ様。
ファフニールはこれでおわり。
グラニは書いたんで、次は7階層のモンスターのことだね。
さぁ、何だっけw
ちょいと見にいくなんて戦闘力はないので、フレさんのブログで確かめてから、
また記事にします。
参考文献を尋ねられたんだけど、それは最後の記事にまとめてあげるつもりです。
では、お疲れ〜〜〜
 
 
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No title

レポートお疲れ様!
キャラクターの性格を分かりやすくマンガで表してくれてるからとっても読みやすいし分かりやすかったです。
「ハゲに効くのかなぁ」でくすっとしちゃったw

ウィキペディアをさらっと読んだだけの私は、
強欲なファフニールが宝を譲りたくないために竜になったと思ってました。
呪いと言っても、創作物によくある邪悪な力に反応して指輪がうごごご…みたいな感じだとw
賢人だったんだね、心臓に特別な力があったのも納得です。


日本の神様は人にあまり関与しないというか、別の次元にいるように感じているので、オーディンのお節介はなかなか新鮮です。
ふらっとやってきて色々かき回すところは黄門様そっくりねw

続き楽しみにしてます~!

ウールさんへ

ファフニールって巨人族かと思ってたんだけど、どうも人間族で魔法使いの血が混じってるみたいです。
調べる前は、巨人だから竜に変身したんだって、私も宝のために変身したと思ってました。
説も色々あって、おもしろいですよ^^

そっかぁ。日本の神様と比較しちゃうから、おせっかいに感じちゃうのね。
ところ変われば神様も変わる。ですねw
神の思し召しが多すぎてついて行けないのでしたw
日本にも貧乏神とか、困った神もいるんだから、神の所行も少しは寛容に受け入れないと^^;
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