北欧神話ーヒルディスヴィーニとフレイヤ (と春の祭典)

ヒルディスヴィーニ
 
ヒルディスヴィーニ

14階層のボス。
持ち主はフレイの双子の妹フレイヤ。
フレイのイノシシ、グリンブルスティがドヴェルグの作であるように、フレイヤのイノシシもドヴェルグ作らしい。
グリンブルスティ同様、光る毛だったとか。(原本未確認)
ただ、北欧神話のエッダ(古エッダ)の「ヒュンドラの歌」に、ヒルディスヴィーニは彼女の愛人オッタルが変身した姿だと歌われているので「ヒルディスヴィーニ=人間が魔法にかけられイノシシの姿をしている」と単純解釈もできる。
 
800px-Freia_Gestures_to_Hyndla_by_Frølich
「ヒュンドラにジェスチャーするフレイヤ」1895、L. フローリヒ

 
わたくしも「ヒュンドラの歌」を読んだ当初は、愛するオッタルのために情報を聞き出しているフレイヤだけど、その割にイノシシに変身させちゃっていて、愛人とはいえ人間の扱いなんてそんなものなのね〜と思った程度。
ヒルディスヴィーニ=オッタルと思い込んでいた。
けれど、色々調べているうちに違うんじゃないかと思いはじめたの。
 
エッダというのは、北欧神話が文字に残されるずっと前から歌い継がれてきた「話の歌」のようなもので、編纂は13世紀ごろだろうと言われているが、8〜12世紀の間に書き留められたものを集めたもの。
しかも、それが発見されたのは17世紀で、その時に発見された「王の写本」は29編であり、そこに後から別の写本の中の近い内容の古詩をプラスしたものなんだ。
「ヒュンドラの歌」はそのプラスされた別口の1つなんだよね。
 
ヴァイキングの活動範囲は広かった。
同じだけ、アースの神々を信仰した人々がいたわけだ。広範囲に。
キリスト教に改宗するまでとは言っても、その土地土地に、まったく同じ話が語り継がれているとは考えにくい。
伝言ゲーム同様、どこか変化していくものだろう。
詳しく調べていないんだけど、原本が別ということは、どこかアレンジされた二次創作的変化があっておかしくない。よね。
 
それに、パペガでは階層のボスなんだから、それが人間の変身した姿だなんて思いたくない^^;
1度しか会ってないし、メモリの少ないケバダチの頭には、このヒルディスヴィーニがどんな攻撃をしてきたかなんてサッパリなんだけど、フレイヤの愛人というより、ドヴェルグ作の魔法の強いイノシシであってほしい。
 
けれど更に混乱することもある。
「ヒュンドラの歌」のある研究によると、歌の作者はグリンブルスティを念頭に歌った、とみられてる。
そうなると「ヒュンドラの歌」が歌われるようになる前には、もしかしたら、ヒルディスヴィーニは存在していなかった可能性もあるよね。
双子の兄で愛人である(w)フレイがグリンブルスティをもっているのだから、フレイヤもイノシシが欲しくて人間の愛人オッタルをグリンブルスティのように変身させることもあったのではないか。(豊穣のヴァン神族にとってイノシシは聖なる獣でもあるから)
それで歌われたのが「ヒュンドラの歌」だとすると、その歌を聞いた後の人が、フレイヤのイノシシならそれはやはりドヴェルグが作った魔力のあるイノシシに違いない。と思ってそれを神話の事実として他の人に語った。ということもあるんじゃないかな。
 
どう思う?
かくもヒルディスヴィーニはミステリアスな存在ですw
とりあえずパペガは「ドヴェルグ作の魔法のイノシシ」として14階層に陣取ってるのは間違いないと思う。
 
そんなヒルディスヴィーニを語るに、フレイヤを知らなくては話にならない。
 
フレイヤ
 
Nブロメール1852
「フレイヤ」1852、油彩、N.J.O.ブローマー
 
何だかギリシャ神話やローマ神話の女神みたいな絵。
この絵のフレイヤが浮かない表情なのは、どこにいるかわからない放浪する夫を捜し求め、天と地を巡る旅をしているから。
その涙は赤く、大地に落ちると黄金になるんだって。
猫の戦車ってことだけど、猫は情愛の象徴なんだそうだ。
 
フレイヤは、愛、セクシュアリティ、美、不妊治療、金、呪術、戦争、死に関しての女神。
特徴は眉目秀麗で力が強く、もてもて。
その美しさはアースガルド以外の世界にも知れ渡っていて、フレイヤは巨人からもドヴェルグからも狙われる。
そして・・・性的な部分はルーズ。
ヴァン神族だがアース神としてアースガルドにいるのは、
アースとヴァンの戦争での和平協定で人質としてアースガルドに来たから。
その時の人質は、父のニョルズ、兄のフレイと3人だ。
母も人質となって、一家揃って(離散させないように)人質になるはずだったけど、アース神に断られたようだ。
というのも、ヴァン神族って近親相姦OKだから普通のことでも、アース神はそれを嫌っていた。
ニョルズの奥さん(ニョルズの妹)も一緒に来られると近親を許すことになるから入れなかった、というんだ。
 
ヴァン神族
 
ヴァン神族というのは土着の神。
アース神族より前からいたといわれる。
(アース神より前から信仰されてたというのではなく、前からいた神々という設定だろう)
土着の神だから、豊穣の神なんだ。自然と一体というべきかな。
その昔の日本が、今よりも圧倒的に性に対しておおらかだったように、アース神が生まれる前の北欧も、性に対しておおらかだったんだと想像する。紀元前のことだしね。
それでヴァン神族は近親での恋愛OKな種族、という設定なんだろう。
 
しかしアース神はそれを許さない存在。
キリスト教が伝搬するよりも何も、まだ発生してない紀元前に近親がタブー視するようになったのはなぜだろう。
 
人というのは(動物全般)、より強くなれる遺伝子を求めるようにできてると生物専門の友から聞いたことがある。
自分のもってない遺伝子を臭いで(フェロモン?)でキャッチして見つける。
自分と相手と両方の遺伝子をもった強い子孫を残すためにそうなってる、らしい。
(Aの刺激に動じない遺伝子しかもってないなら、Bの刺激に動じない遺伝子をもつ相手を選んで、AとB両方の刺激から身を守れる子孫を作る。ということだそうだ)
近親者をさけるのは、その相手に自分のない遺伝子が感じられないからだという。
娘が父親の臭いが嫌いっていうのは、実は自分も同じ臭いをもっているから避けるように鼻につくのだとか。
(それだけじゃないと思うが^^;)
これによって、道徳や思想的な縛りがなくても、自然と近親での交わりを避けるようにできている。ということだった。
 
とはいえ、人が少なければ臭いを気にしてなんていられない。
昔々の小さな部落では、避けようのない近親交配があって普通だろう。
日本の古い社会では、村に男が子孫を残すためにやってきて子作りをしては去り、村では女たちがどの子も兄弟のように協力して育てる(象みたいだね)という形だったと何かで読んだ。
こうなると、知らず知らずのうちに近親交配(異母姉妹と知らずに、のようなこと)がなされてしまっていただろう。
古い北欧地域でも、やはり近親はあったことだと思う。
けれどアース神はそれを否定する。
紀元前の話だ。
どうしてかな。
すでに近親交配のリスクを目の当たりにしてた、ということなのかな。
それとも、ヴァン神族の近親相姦を否定するアース神族、というのは、キリスト教が介入するようになってから後付けされたことなのかな。
どうだろう。
 
疑問はあるが、まぁ、フレイヤはそんなヴァン神族だ。
それで、兄とも愛人関係。
人間のオッタル(一応英雄ってことになってる)も愛人。
それ以外にも一夜だけの関係あまた。
夜になるとヤギに変身して♂ヤギと遊ぶという。(うわっ)
オドゥル(オド)という夫もいたんだけれど、多分それはオーディンの別名だろうという見解が多数だ。
ロキに言わせれば、アース神族や妖精族でフレイヤと関係していない男はいないだろう、というぐらい。(でも多分、ロキとは関係してない。ロキは馬とも関係するくせに自分の魅力になびかない男だからフレイヤはむかついてるんじゃないかなw)
まぁ、夫はいないも同然で近親や浮気とかの観念も自然のままのヴァン神族なら、それもうなずけるか。
それで、フレイヤはこんな絵になってしまう。
 
1920px-John_Bauer-Freja.jpg
「フレイヤ」(1882-1918) John Bauer
Freya_(1901)_by_Anders_Zorn.jpg
「フレイヤ」1901 Anders Zorn
320px-Marcksduisburg1.jpg
「フレイヤ」1950 Gerhard Marcks


フレイヤのスカートの中にはいつでも男がいる、とまで言われてるためか、ヌードが多いw
美人かぁ? と疑問が浮かぶのが芸術なところかな。
ゲームなどにもよく出るみたいだから、ググって見れば現代の絵の美人さんが見られる。
(ヴァイキング祭りのコスプレなんか、ほれぼれするぐらい美人フレイヤだよ^^)
 
性的に奔放だからこそ、愛欲の神であり、多産(豊穣)の神でもある。
人間の願いも、特に恋愛関係の願いをよく聞いてくれる、ということで、信仰してた人には欠かせない存在だっただろう。
でも彼女はそれだけじゃない。
セイズという呪術使いであり、戦争の神でもあった。
(呪術の部分は、わたくしの独断と偏見で18禁話になりそうなので割愛)
まるで恋愛が仕事のギリシャ神話のアプロディテのようなフレイヤが、戦争や死を司っていたというところは意外に感じちゃう。
 
フレイヤはヴァルキュリャを統括していた。
ヴァルキュリャといえばオーディンの命で動く、戦死者をヴァルハラへ連れてくる女たちだが、フレイヤはその戦死者の半分を自分のものにしたんだ。
つまり、オーディンと半分こ。
オーディンの正妻であるフリングもオーディンに死者を連れて来るように頼むこともあるようだけれど、基本はオーディンとフレイヤが戦死者を分け合う。
・・・分け合ってどうしたんだろう。
フレイヤはフレイヤでラグナロクで「フレイヤ軍」でも出してたのかな?
わたくしにはわからない。
このことで、フレイヤはオーディンの正妻フリングのことではないかとの見方もある。
ここら辺も、地域によって伝承の内容が変化していって、どれが正しいと一本化するのは難しいところじゃないかな。
 
さらに、人間の女性が死ぬとフレイヤの元にいく、という伝承もある。
「名誉な死」「不名誉な死」というのは男たちのことで、女はフレイヤのもとにいくっていうんだ。
フレイヤの元で食事できるまでは断食して自殺する女性の話があるサガもあるらしい。(原本未確認)
 
こんなフレイヤのイノシシがヒルディスヴィーニだ。
どうだろう。
思ったより強そう? 弱そう?
愛欲のフレイヤのイノシシと思えばたいしたことなさそうだけど、オーディンと並んで戦死者を自分のものにしていた強いフレイヤのイノシシと見れば、ヒルディスヴィーニもなかなか強そうだと思えるよね。
どうなのかな。
また、14階層まで行ってみたくなったよ。(無理w)
 
 
 
【余談】 14階層のBGMのこと

この14階層のBGMは「春の祭典」だった。はず。
まぁ、一度しか行ってないんで、13か15階層なのかもしれないけど、ここだったと記憶してる。
(わたくしの少ないメモリじゃあてにならないけどねw)
 
それまで、階層のイメージ、特に色合いかな、
曲の内容ではなくて、視覚的なイメージで選曲してるのかな、と思いながら進んでいた。
でもね、「春の祭典」だと気付いて「んんん」となったんですよ。
だって「春の祭典」って生贄の曲だから。
乙女を生贄にするバレエ曲。
その昔、北欧神話を信仰する者による生贄が実際にあったとわかっている。
しかも作曲したストラヴィンスキーはロシアの作曲家。
ヴァイキングがロシアの一部まで勢力を伸ばしていたのも、今のわたくしは知っている。
もしかしたら、意図的にこの曲を選んだのかな?
と、すっごく気になったんですよ。ここに関しては。
 
で、調べ直しましたよ。
この曲は、今のわたくし達のやり方と同じなの。
こんなの作ったらおもしろい、と提案して、それが通って作られた曲なのね。
ニジンスキー振付のバレエとして世に出たわけだけど、その原案はストラヴィンスキー。
「ニーベルングの指環」が作曲者ワーグナーの原案であったように、ストラヴィンスキーが「少女の生贄」を題材に立案。
「異教徒の少女の生贄の儀式」としてるんだけど、じゃ、その異教って?
ストラヴィンスキーはバレエ曲「火の鳥」の作曲中に、この生贄の幻覚を見たという。
その幻覚を具体的なアイディアにしたっていうことだが…
 
ストラヴィンスキーが生まれたのはロシアの西部、サンクトペテルブルクのあたり。
あああ〜、やはりヴァイキングの範囲じゃないの!
ヴァイキングはサンクトペテルブルクよりちょっと北東に位置するスタラヤラドガを根拠地として、東はヴォルガ河からカスピ海、南はキエフを経て黒海へ、さらにコンスタンチノーブルまでと勢力を広げた。
スラブ人がいたとはいえ、ヴァイキング達は上手に入り込んでいる。
キエフもヴァイキングが建設したという見方もあるぐらいだ。
スラブ系の人たちは否定したがってるそうだけど、事実、ヴァイキングが石碑なども残してる。
20世紀の発掘調査によると、キエフやルーリクあたりも、ヴァイキングの墓は宮廷付きの土地にあった。
こうなると、当時の支配者がスカンジナヴィア人であったと考えていい。
支配者層なら単なる移民より影響力が強いはず。
来たのは男たちなんだから、婿に入り込んでのし上がった、ということかもしれない。
そしてそれは「アース神への信仰があった」ということになる。よね。
 
これを作曲した頃はソ連になる前のロシア帝国の頃。
国教としてロシア正教だったと思うが、祖先の信仰への興味があったんじゃないだろうか。
それが「昔は異教時代もあったそうだよ」という程度の認識だとしても、DNAに沁み込んでるものがあるんじゃないかな。
わたくし個人は無宗教だけど、全てに感謝して生きるべきという仏教観みたいなものは沁み込んでいると自分で思う。
その土地に生まれたから、その土地の文化や歴史をいつの間にか自分の中に受け入れている、っていうのかな。
 
ストラヴィンスキーの後期の作品では信仰心が大切だ、という見方もあるけれど、わたくしはそうは思ってない。
それほど熱心な信仰を感じない。
冠婚葬祭などは国教に従うとしてもね。
(大体においてシャネルとの不倫も有名だしなぁ。信仰心が厚いとはとても思え…)
スノッリがキリスト教を信仰しつつも、先祖達の信仰していたアース神たちを大事にしたように、ストラヴィンスキーも祖先のアース神への信仰を許容していた。つまり、熱心なキリスト教徒にはならなかった、ということもありじゃないかな。
 
そんなわけで、「春の祭典」はアース神への生贄と見ても、そうそう間違ってないと思う。
では、アース神の誰に捧げたんだろう。
「少女(処女)を捧げる」なら、死んだ女達の行く場所、フレイヤへの生贄ではないか。
「春」の生贄の儀式なら、その年の豊穣を願っての生贄だろう。
豊穣の神ならフレイでもいい。フレイヤでもいい。
女だから、フレイヤかな。
そうだとしたら、パペガ、すごい!
14階層のBGMとして、これ以上のものはないでしょう。
(そこまで考えて選曲したとは思ってないし、本当に14階層だったかどうかも怪しいけど^^;)
 
 
長ったらしい憶測まで読んだ方、お疲れ様でした。
「春の祭典」は観ましたか?
わたくし15歳でこの18禁まがいのバレエにショックを受けまして、振り付け師でさらにすごいのもあるのがわかり、
これは音楽だけで十分に芸術だと、以来、音楽のみ学ばせてもらった楽曲です。
「ウエストサイドストーリー」に似ている部分もあります。
(「ウエスト…」のバーンスタインが真似た(盗作? トレース?)というか、影響を受けたってことですけどw)
不慣れな人は音楽だけだときついそうなので、やはりバレエの動画をおすすめします。
今ちょっとググってみたら、年齢確認するきわどいものもネットにはあがってますね。
胸がポロリは当たり前。
異教徒たちの乱交を思わせる振付のものや、最後は素っ裸で(前貼りなんてしない!)踊り死ぬ振付のものまで鑑賞できます。
ニジンスキーはストラヴィンスキーも口を挟んだものとして観るのもいいですが、有名なのはベジャールの振付です。
ベジャールいいですね。素晴らしいです。好きかどうかは別にしてw
(わたくし、四股を踏んでるベジャールの振付は……相撲の影響みたいですけど、ボレロとかは見慣れたけど、やっぱり……バレエに四股は……w)
まぁ、色々な振付がございますので、(もしかしたらアース神への生贄かもしれない)異教徒の儀式をバレエで垣間見たらいかがでしょうか。
Rite of Springで検索すればいくつも出ます^^
 
 
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